排出権取引とは何か?
排出権取引は、2005年に発効された京都議定書で定められた「二酸化炭素の排出量」を国同士で売買できるようにするシステムです。
原理
二酸化炭素の排出量は、先進国に追いつこうとする開発途上国は大量に二酸化炭素を排出し、前時代的な後発開発途上国は二酸化炭素の消費量が少ないといったように、国ごとの発展に応じた違いがあります。仮にこの排出量の違いを踏まえず、世界中の国に一律で二酸化炭素の排出量を制限すると、元々排出量が少ない後発開発途上国が最も有利になります。二酸化炭素の排出量が多い先進国や開発途上国が排出量制限のノルマを達成するためには、排出量が少ない国から余っている排出量を買い取るしか方法がありません。この原理をシステムとして明文化したのが排出権取引なのです。
排出権の種類
二酸化炭素の排出権は「炭素クレジット」という概念で扱われます。炭素クレジットには四種類あり、国の規模に合わせた対策を取ることが可能になっています。
初期割当量
初期割当量は、京都議定書発効の時点で各国に許可された二酸化炭素の総排出量です。炭素クレジットの基本となっています。
吸収量
吸収量は、海や森林などの二酸化炭素を吸収する働きを持つ吸収源の所有量に応じて与えられる炭素クレジットです。
認証排出削減量
認証排出削減量は、先進国が開発途上国に支援を行って二酸化炭素排出量の削減または吸収量を増加させる事業を成功させた場合に与えられる炭素クレジットです。
排出削減ユニット
排出削減ユニットは、先進国同士が協力して排出量を削減した場合に与えられる炭素クレジットです。削減した排出量は参加した国家に分配される仕組みになっています。
メリット
排出権取引のメリットは、「途上国は排出権を先進国に売ることで経済を成長させられる」「先進国は排出権を買い取ることで産業や経済の発展にブレーキを掛けなくて済む」ということに尽きます。排出権取引は21世紀を代表する新しい取引市場になりうると見られています。
問題点
排出権取引の問題点は、「取引相場が不安定である」「全体の排出量増大の恐れがある」ということです。その気になれば排出権を多く所有している途上国が幾らでも取引価格を吊り上げられる超売り手市場を形成することが出来るため、先進国が取引に二の足を踏むことは明白といえます。また、先進国が余っている排出権を買い取るだけで自国での二酸化炭素排出量削減を行なわなければ結果的に地球全体での排出量が増えてしまうことも考えられるのです。排出権取引は歴史の浅い取引であるがゆえに、参加する国には一層の慎重さが求められているのです。
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